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連続小説

僕らの活動

私の笑い声はささやかなものだったが、思いのほか2人の注目を集めてしまったらしい。
特に面白いこともないタイミングだったこともあってか、彼らは不思議そうに私を見た。


「東谷さんの笑いのツボ、よくわかんないです」


私が突然笑ったことに気分を害したのか、或いは怪訝に思ったのか、ツキコは顔を顰める。
確かにこの流れで笑うのは少し挙動不審だったかもしれない。
だからと言ってさっきまで考えていたツキコに心を読まれたかと思ったなんて話をするのは少し恥ずかしかったし、その理由が彼女の風貌が魔女のようだからというのはさすがに失礼な気がして私が言葉に詰まりその場凌ぎで愛想笑いを浮かべると、すかさず横から南野が割って入る。


「ツキコちゃんがまた私のことをチクチクいじめているって思ったんじゃない?」


にやにや笑いを浮かべながら人差し指を立て、茶化す。
それに対しツキコは口を尖らせながら心底不服そうな様子で「別にいじめてないですよ」と言った。


「社長、なんて呼んじゃってね。
会社じゃないって言っているのに、東谷さんが混乱するじゃないの。
これ、おふざけだからね」


南野はついでにという感じで先ほどのツキコの発言を訂正した。
うっかり聞き流してしまったが、そう言われると確かに先ほど彼女は彼のことを社長と呼んでいたのだ。


「そう言えば、さっきそんな呼び方をしていましたね」

「ああ、やだ、気にしてなかったの。
誤解があるといけないって思ったのに」


南野はなんとも言えない残念そうな顔をした。
もしかしたら彼は彼なりに、訂正するタイミングを計っていたのかもしれない。
私はと言えば別の思考に気を取られていたしあまりに自然にそう呼ぶから、南野が思うほど、いや、まったく気にならなかったのだ。


「まぁ、気にならなかったならいいんだけどね。
あだ名みたいなものだからさ、気にしないでね」

「社長は社長ですから」

「もう、この子は。
初めての人の前ではきちんと南野さんって呼んでって言っているのに。
もう何度も誤解を与えて、その度に訂正しているんだよ?」


茶々を入れるツキコに南野は困り顔で応じる。
彼女はそんなことは気にもしないといった様子で、しれっとした顔のままテーブルを指先で軽く叩いた。


「南野さん、脱線してますよ」


彼に言われたからかツキコは呼び方を戻して、待たせていると言わんばかりにちらりと私の方を見た。
私としては二人のやり取りは微笑ましく見ていて楽しいものなのだが、南野は慌てて私に謝罪する。


「ごめんごめん。
まぁ、ツキコちゃんの言う事も一理あるよね。
それじゃあ、僕らの活動を紹介しようか」


左右のラブドールとツキコに目配せしこちらに向き直って微笑む南野に、私はお願いしますと言って軽く一礼した。

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