連続小説

家族?

「あはは、面接なんてそんなそんな。
仕事だけど会社ではないからね。
こうなるとあれだね、ツキコちゃんとのなれそめを話さないと」


私に質問をされた南野は、待っていたとばかりに嬉しそうに語り出す。
元々話したかったのだろう。
きっと私が聞かなくてもそう言う流れに持って行っていたのだろうとは思う。
だがやはり、自分から話し出すのと相手に聞かれて答えるのでは気持ちが違う。
少なくとも後者は相手がその話に興味がある、という前提ができるのだから、話甲斐もあるというものだ。
それに私からしても、話してもらえるのなら有り難かった。
考えても知らないのだから答えは出ないし、教えてもらえるのならそれが一番いい。


「ぜひ聞きたいです!
さっきの仕事に誘ったって話でしたか?
それも気になるんですが、その、なんていうかここに来た時からいまいち南野さんとツキコちゃんとの関係がよくわからなくて気になっていたんですよね。
ビジネスパートナーって言っていたけど、いまいちピンと来なくて。
こんな風に言ったらなんだけど、年もだいぶ違いますし。
家族とかではないんですよね、そうなると知り合ったのはやっぱりネットですか?」


自分でも驚くほど饒舌に言葉が続いて、言い終えてなんだか照れくさくなった。


「ああ、やっぱり気になってたかあ。
初めての人だとよく聞かれるんだよね、いろいろと。
東谷さん、最初に聞いたもんね。家族?って」

「ええ。
なんかほら、親戚とかが仕事を手伝いに来ている感じなのかなって思って」

「まぁ、そうだよねー。
娘くらいになっちゃうもんなぁ・・・って!こんな大きな娘が居るような歳でもないけどね!?」


確かに、見た感じ私達とツキコはいくら年が離れているとはいえ20歳は離れていないはずだ。
10代で子供ができたというならあり得なくもないかもしれないが、それはあまり考えたくもない事だった。
大きな子供が居てもおかしくない年齢だという現実が身に刺さるからだ。
南野のこのノリも、その辺を踏まえての自虐もあるのだろう。


「と。
まぁ、そう言うのは置いておいて、だ」


ギャグに思ったような反応を得られなかったからか、それともいい加減話を進めないといけないと思ったからか、さっきまであんなに活き活きとしていた南野はさっきよりも落ち着いた様子で見えない何かを自分の左横に持ち上げて置く手振りを見せた。
ようやく本題に入るようだ。
そう言えばしばらく発言がないと思いツキコを見ると、目を細めなんとも形容しがたい表情で南野を睨んでいた。
間違いなく、何らかの圧力をかけている。
南野のノリツッコミが気に食わなかったのか、それとも話の内容だろうか。
真意はわからないが南野が話を進め始めたのはこのツキコの眼力があってだろう。

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