雲の上への扉

クリック

見せ方が上手いというのもあるのかもしれない。
どの画像も実に素晴らしく撮られていた。
ある画像は生活の一端を映したような何気ないものだが明るく生命力に溢れ、ある画像は中世の貴族の令嬢が描かれた肖像画のように、衣装や髪型、場所のセットも然ることながら構図や光の加減までどの画像からも並々ならぬこだわりを感じる。
最近のものほど凝った構図が多く、華やかになっているように思えた。


「ほとんどプロじゃないか・・・」


趣味なんて言って頭を掻いていた南野の顔を思い出す。
公園で見た際の南野は距離や角度を変えながら何枚も写真を撮っていた。
ああいう風にしてたくさん撮った中からいいものを厳選するのだろうか。
そういえば、荷物こそ少なかったが使っているカメラも結構いいものだったような、今になってそんな気がしてくる。


「写真集も作るわけだ」


私はサイト上に上げられた画像を眺めながら、一人納得した。
サイトに上げられた画像はあくまでもパソコンの液晶サイズでしか見ることができず、そもそも拡げて表示されていることを想定していない、サイトが重くならないように大きさを調整しているのかある程度の大きさにしてしまうと荒くなってしまう。
もっとよく見たいのだが、限界があるのだ。
少し覗いてみるつもりが、南野の言っていた写真集まで気になってしまう。
買うまではいかないにしろ、そういうものがあって買うとしたらいくら位かかってどこから注文できるかを知っておくくらいいいだろうと私はサイト内の物販のページを開いた。


「えーっと・・・いくつかあるのか」


2015年冬、2016年春、夏、2017年春。
タイトルとともに冊子の表紙が表示される。
数ページサンプルが見れるようになっており、まるでどこかの企業のページのようだ。
一部は在庫なしの表示がついているが、その下に電子書籍の商品ページへのリンクがあり、紙媒体ではないが望めば全てを目にすることができるようだ。
電子書籍というものに縁がない私は少しがっかりした。
使っているのはスマートフォンではあるが、なにせパソコンよりさらに画面が小さい。
もっとよく見たいがために写真集に興味を持ったのに、それよりも小さい画面では意味がないのだ。


「持ち歩いて読みたいわけでもないしなぁ」


冊子の取扱店などは書いていない。
趣味でと言っていたから、書店等では扱っていないのだろうか。
私はマウスのホイールを操作し、画面を下へと下げた。


「お、あったあった」


若干わかりにくかったが、青文字で冊子のご注文はこちらというリンクがあった。
今すぐ買う気はなかったが購入方法がわかればいつか気が向いたら購入するかもしれない。
私は何気なくそれを左クリックした。

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