雲の上への扉

夢中になった

私は開いていたウィキペディアを閉じ、一覧に戻った。
ラブドールがどういうものなのか一通りはわかった。その上で、他のドールも見てみたいという思いはもっと強くなった。
しかしラブドールという言葉だけでは見たいと思うようなドールの姿を写したものには巡り合えないと思った私は、その後ろにブログと追加しもう一度検索をかけたのである。
ブログであれば南野のようにラブドールを愛好している者のサイトが見つかるだろう。

予想通り、一覧に表示されたのはニュースや商業的な記事ではなく、もっとラブドールに近い記事が書かれていそうな雰囲気のものばかりだ。


「えーっと、どれがいいかな」


文字だけの一覧では雰囲気まではわからない。
開いてみて気にならなければ違うものを見ればいいだけだ、私はその中からとりあえず一つのブログを開いた。

シンプルで読みやすいデザインのそのブログはラブドールとの日常を画像と共に日記のように綴っている記事が多く、ほぼ画像が目的であるといっても過言ではない私はすぐに当たりだと確信した。
南野の人形が着ていたのは絵本から出てきたような少女趣味な洋服が多かったが、こちらの人形はTシャツにスカートやシンプルなキャミソールに短いパンツといった普通に街を歩いている女性が着ているようなカジュアルな洋服でまるで本当にその人形がその部屋で生活しているように見えた。
こちらは南野の撮る写真とは違いおそらく人形の持ち主の部屋の一部を写しているのだろう、生活感があるものが多く、あちらに比べると表現や技術的な点で言えば明らかに劣っているのだが、それでも見るものを引き付ける不思議な魅力がある。
私は夢中になった。

ある程度見て、そのブログのリンク集から別のサイトへ移動する。
そこにはまた違った雰囲気のラブドールたちの持ち主との日常やシチュエーションを作り上げて撮られた写真が記録されており、見ていてまったく飽きることはなかった。

ラブドールと言っても顔の造りや髪型でぜんぜん違うのだ。
服装も、これは持ち主のセンスもあるのだろうが、様々だった。
私はファッションに興味はない人間である。
自分の服装は主に無難で機能性が高いものを好み、物持ちが良いものを選ぶためあまり服を新しく買うということがない。
そんな私だが、実を言うと女性の服には少なからず興味があった。

と言っても、自分で着たいというわけではない。
なんというか、そう、着せ替えとでもいうのだろうか。
こんな自分にそんな部分があるというのは誰にも言ったことが無いのだが、自分好みに服や髪型を選び、理想を作り上げるということに憧れのようなものがあったのだ。

前の記事へ          次の記事へ
トップページへ

PAGE TOP