雲の上への扉

PHOTO

時間の経過も忘れ、私はサイトの左側にあるメニューバーからPHOTOと書かれた項目のページに貼られた画像を一枚一枚、見ていた。
画面いっぱいに並んだ真四角の小さなサムネイルはクリックすると大きな画像とちょっとしたコメントが見れるようになっていた。
それはその服装や構図のポイントだったり想定している場面だったり人形が言っているであろうセリフが括弧書きで入れられていたりというものだが、想像が膨らんでなかなかに楽しい。
新しいものが上に表示され、下に行くほど古くなるようだ。


「ん?」


ひとつの画像を開いて違和感を覚える。
パジャマ姿の人形が絵本を開いてその中に描かれたうさぎを楽しげに指さしている寝る前の一コマといった感じの画像だが、何かが違った。
なんというか、人形の表情が明るいのだ。
公園で見たあの人形は困ったような愁いを秘めたような何とも放っておけない顔をしていた。
比べてこちらは眉がぐっと上がり弧を描いており、口元も少し綻んでいるように見える。


「別の人形か・・・?」


何より目の形が違うのだ。
公園のあの人形は涙袋が膨らんだ重たい垂れ目だったが、こちらは活発そうな釣り目である。
化粧ひとつでこうも変わるものだとは思えない。
髪型や服装は変えられるかもしれないが、顔の造りは無理だろう。


「やっぱり」


別の人形という私のカンは当たっていた。
画像の中には複数の人形が一緒に写っているものもあったのだ。
公園のあの人形とこの釣り目の人形の他にも目がぱっちりした少し幼げに見えるものや逆に、落ち着いた端整な顔立ちで大人っぽいものもいる。顔も違うのだが、それそれ体型も個性があるようだ。
単体で撮られているものもあった。
全てあの男の所有しているものなのだろうか。


「へぇ、立つこともできるのか」


桜の木に寄りかかりぬいぐるみを抱いている画像を見て、私は感心した。
座っていたり寝ていたりする画像が多いが、何かに寄りかかるようにして起立しているものも多い。中にはどう支えているのか、実際にその足で立っているように見えるものもある。
どうしても人形というと体が重く自立ができないイメージがあったが、画像を見る限りこのすらりと伸びた細い脚は意外としっかりしているようだった。
立つことができる他にも、物を持ったりと手の動きや眼球等よく動くようで、ポーズも多彩だ。


「まるで人間だな」


指にはうっすらと関節の皺が刻まれており、指先には爪がある。
場合によっては爪にもペイントというのか装飾が施されている。テレビで芸能人なんかがつけているような感じで。
それに下着もきちんと上下着用しているようだ。
いくつか下着姿の画像もあったが、なかなか凝ったデザインのものばかりで、おそらく人間が着用するものに見えた。

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