雲の上への扉

さあどうしよう

購入に踏み切るには、まだ情報が少ないと思った。
せっかく手に入れるのであればできるだけ良いものを、良い形で入手したいと思うのは当たり前のことだろう。
購入の方法や迎えてからの手入れの方法、服のサイズ、注意事項など事細かに確認しておきたい。
もし特別なことが必要であれば、入手しても手に余してしまう可能性もある。
私は再びパソコンに目を向けると、それらを調べ始めた。
ラブドールを取り扱っている販売サイトやブログ、匿名掲示板など意外とそう言った細かいことを取り上げている記事は多く、ある程度のことは容易に調べることができた。
どうやらラブドールに関心を持っている人間は多いようだ。


「これなら大丈夫そうだ」


私はひとまず自分でもラブドールを迎えることができそうだと思った。
性具というだけありそれなりの耐久度やボディの耐水性があることと、サイズさえ合えば人間が着る一般的な洋服を着せられるということだ。
注意事項も多かったが、あれだけ繊細そうな人形だ、想定の範疇だった。
また手入れの方法も多少手間はありそうだが不可能なレベルではないと思った。


「さぁて、どうするかね」


調べるにあたりいくつか販売サイトを見つけ確認し、中には好みのドールも居たのだがどうにも購入に踏み切れないのは私が通販やネットショッピングを信用しきれていない人間だからだろう。
やはり実際に店頭で現物を確認して購入したいという思いがあり、今までそういったものを利用したことが無いのだ。
家電や家具なんかの大きな買い物はそうやって済ませてきた。
ラブドールもまた私にとっては大きな買い物であり、クリックひとつで購入するにはあまりにも心許ない。


「ああ、そうだ」


不意に私はあることを思い出した。
そう、公園で出会ったあの男である。
あの男、南野はラブドールを所持している。
ということはつまり、どこかでラブドールを購入した経験があるということだ。
南野に話を聞いてみたいと私は思った。
サイトを見たところ、いくつかの人形を持っているようだった。
もしかしたら複数店試しているかもしれないし、いい店も知っているかもしれない。
私はどうにか彼に連絡を取ることができないだろうかと名刺を見たがそこにはサイトアドレスと何かのIDが記載されているだけでメールアドレスや電話番号と言った連絡の手段は記載されていなかった。


「普通名刺には連絡先を載せておくものじゃないのか」


私はわずかな苛立ちを感じた。
それを普通の名刺と言っていいのかは疑問ではあるが、それでも名刺なのである。
それを渡す以上、相手からの連絡があることも想定するべきではないだろうか。

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