雲の上への扉

とうとう来てしまった

日曜までの5日間はとても長く、しかし思い返してみるとあっという間の5日間だった。
年甲斐もなくわくわくしており、それと同時に不安もあり、前の晩はよく眠れなかった。
待ち合わせは15時からだというのに朝はやけに目が覚めてしまい、寝直すこともできず私はパソコンでラブドール関連のブログを見たりして時間を潰す。
そうすると意外と時間はあっという間に過ぎた。
軽く昼を食べ、早めに家を出る。
最寄駅まで歩いて15分、そこから電車に乗り待ち合わせの○○駅は2駅先の所にある。
それほど時間はかからないはずだが、問題は待ち合わせ場所にあった。
○○駅には仕事で何度も足を運んでいるが、駅自体はさほど大きくない駅だが、漠然と駅待ち合わせとするのには広すぎる駅だ。
もしかしたら地元の人間ならば定番の待ち合わせ場所があるのかもしれないが、私はそれを知らない。
その為、駅に着いてから相手を探す必要がある。
詳細な場所を指定しなかった南野に非があるとも思うが、それでも人を待たせるのは気が引けるため早めに家を出たのだ。
私は家から最寄り駅までの道を早足に進む。
通勤で使う見慣れたいつもの駅は、平日の朝とは違う賑わいがある。
休日に出かけることがほぼない私にとって、家族連れや私服の若い学生たちで溢れる駅はとても新鮮だった。


「えーっと、次の電車は5分後か」


私は定期券で改札を抜け、駅のホームへ向かう。
反対の路線に比べこちらの路線には人が少ない。
時間がよかったのだろうか。
私はほっとした。
正直、人混みは得意ではない。
休日にあまり外出しないのもそれが理由だった。


「お、よかった・・・」


電車はすぐに来た。
車内はそれなりに人はいるものの、かなり余裕がある。
席は空きがあったがすぐ降りるのだからと私は出入り口近くに立っていることにした。
ちらりと腕時計を覗くと時刻は14時21分、これなら○○駅に到着しても十分時間がある。
途中の駅で新たに人が乗ってきたがそれもそれほど多くなく、ストレスを感じることなく電車は○○駅に到着した。
電車を降りて○○駅のホームに足を踏み入れると、途端に緊張が私を襲った。
とうとう来てしまった。
これからあの男に会うのだ。
私は自分を落ち着かせるため、すーっと大きく息を吸いこみ、ゆっくり吐き出した。
息とともに不安や焦りと言った嫌な感情が排出され、心が少し軽くなったような気がした。
それと同時に口の中が乾いているのに気付き自販機で水を買い、喉を潤す。
全ては飲み切れず、残りはカバンに仕舞った。
時刻は14時42分。
用意が整ったところで階段を上がり改札を目指す。
定期券で改札を抜けると見たことがある男がにこにこと笑いながら手を振るのが見えた。

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